ハムスターのポエム
夜毎悔いている。その日のことをくちくちと。ピザとか風呂とか音楽とかお笑いとかで、隙間を埋めてから眠りにつくが、朝になるとまたほころび始めている。ほころんでは埋めて、埋めてはほころび、回し車をやるハムスターみたい。陳腐な虚しさから目を逸らして、忙しく都会ぶっているのが私だ。
今日は、風呂から上がってタオルでがしがしやりながら、早く帰りたいと呟いてしまった。この家には誰もいないのに、他人に聞かせるような乾いた笑いがこぼれた。
しかし当初の私は帰宅したくはなかった。こころは疲れているが足が軽く、往復20分のピザ屋まで遠回りの帰路を終えたところだった。ピザは想像を超えて大きく、下げて歩くと足に当たって不快なほどだった。手のひらサイズが8切れ。半分食べ終えるともう腹も気持ちもいっぱいで、乱高下していた神経も落ち着いたようだった。
私はいつも、いい子にしていた。叫ばないし暴れないし、きちんと帰宅するし、自ら機嫌をとって逃げ出さず、普通を生きていた。今夜も同じだった。ピザと音楽でほころびを埋めたら、どうあがいても朝が来てしまう。
眠れない。